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「じゃあ、いってくる。
なんかあれば雑鬼を通して連絡しな。」
毎日のこと。
朝御飯を一緒に食べてから、きぃ君は町へと降りていく。
森の中にある僕たちの家。
ここで生活していくのは大変だ。
特に冬。
冬には雪のせいで森から身動きがとれなくなる。
だからこうやって、きぃ君がお仕事にいって、冬前に備蓄する。
「いってらっしゃい。」
笑って言えば、きぃ君も笑って。
僕の頭をくしゃりと撫でるときぃ君は家から出ていった。
見送って、さて、と呟く。
『なにか』なんて起こったことないけど、雑鬼たちにはお世話になってる。
きぃ君がいなくなったのを見計らったように、小さいモノ達が集まってくる。
「今日もよろしくね。」
言えば、彼らははしゃぐように跳び跳ねた。
彼らはかわいい。
なにかを喋ることはないが、その小さな体全体で感情を表す様は見ていて癒される。
どうやら彼らはきぃ君が苦手らしい。
あんまよく知らないけど。
きぃ君がいるときにはちらりとも姿を見せないのに、いなくなるとすぐ集まってくるのがいい例だ。
彼らは家事を手伝ってくれる。
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