14. 告白

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受験は気の持ちようなんだろう。あたしはきっと大丈夫だ。だって、あたしには先生がついているんだから。 あの日のことを思い出すと今でもニヤけてしまう。 幸せが待っているのだから、絶対に掴まねばならない。 学校で先生の顔を見るたびに好きな気持ちが強まっていく。本当に毎日どんどん好きになっていく。まさしく恋の病だ。だけど、その病が活力になっている。 ただ、先生に会える機会は決して多くないのが少し辛い。 もともと少人数での授業が多い学校だったけど、センター試験以降は本当に個別指導塾かと言いたくなるほどの少人数制となった。 自由登校となっているのも人が少ない理由の一つだ。すでに進路が決まった人などは決められた日以外は登校する必要はない。だけど国公立狙いだとそういうわけにもいかない。 各教室に集まった数名も、それぞれが違うことをしている。授業ではなく、各教科に分かれてずっと自習しているみたいな感じ。それぞれ試験内容が全然違うから、そうするしかない。 そのせいというか、あたしは今、数学の授業がまったくない。あたしが志望しているのは教育学部の国語科で、試験科目に数学はない。だからセンターを終えた今はもう受験のために数学を勉強する必要がないのだ。 つまりそれは、光野先生の授業がひとつもないということになる。
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