14. 告白

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車に乗り込むと、一気に現実味を帯びてきて、どうしていいのかわからなくなる。車内に包まれる先生の香りを妙に意識してしまう。 明日からどんな顔で教室で過ごせばいいのかわからない。いや、というかまずは今だ。車って密室じゃん。さっきの今で、先生とどんなふうに話せばいいのか……。 座席に置いていたお茶を手に取ると、もうぬるくなっていた。落ち着こうとそれを飲む。 「学校では今までどおりにしてくれよな」 突然横から言われてむせてしまう。 「わかってるよ」 「今までどおり、担任に恋する女子高校生な」 「何それっ……!」 ムキになった瞬間、先生にからかわれていたと気づく。 「卒業式まではそれで頼む」 「卒業式……」 明確な期限が与えられ、感情が波立つ。 「あぁ、卒業式の日までは俺は担任で若田は生徒だ」 「うん」 いや、からかってるんじゃない。これはとても大切な話。もしかしたら先生も今どんなふうにあたしに接したらいいのか迷っているのかもしれない。 「そこまでに二次試験もあるし、心細いこともあると思うけど、そこは担任としてサポートするから」 「ありがとう、ございます」 「よろしい」 先生との関係をどういう言葉で表していいのかあたしにはわからない。 明確な約束をしたわけでもない。関係だけなら教師と生徒で変わっていないのかもしれない。ただ、そうだとしても、今あたしは世界で一番幸せな生徒であるという自信があった。 恋の力は本当に偉大だ。今ならきっとなんだって乗り越えられる。そう思った。
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