1人が本棚に入れています
本棚に追加
学に告白され一ヶ月。ある日の放課後、華乃は廊下で、学に呼び止められた。
「は、花園さん。良かったら今日、い、一緒に宿題でもしませんか?」
学の声に、華乃は振り向いた。学は頬を赤く染め、華乃の二メートル先に突っ立っていた。
「えっ、良いけど…。どこでするの?」
「ぼ、僕は、前々から…君の家の『図書室』という所に興味があるんだ!」
すると華乃は、申し訳なさそうな表情になる。
「残念ながら、確かに名前は図書室というのだけど、町の図書館とはちがうのよ。お爺様の集めた推理小説や、我が家の写真アルバムばかりよ。おそらく、あなたが想像しているようなものでもないと思うわ」
「それでも良いんだ!見てみたいんだ!」
「…そこまでいうなら別に良いけど…。じゃあ、いつにする?」
という流れで、学は花園邸に遊びに来ることになった。
学は心の中でガッツポーズをした。
(やったぞ…!ついにこの日がやって来た。花園家の図書室に立ち入るときが!
おそらく、彼女がそうは言ってても、歴史的な重要文献が隠されているに違いない!
もしくは親から、そのように言えと言われているのかもしれないしな。
強盗にでも狙われたら困るし、国会図書館にでも寄付するように行政から圧力をかけられるかもしれないし、日本史の研究者から寄付を迫られるかもしれないからな!)
最初のコメントを投稿しよう!