~世に言う臭い仲(´A`|||)~

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「うっ…ぐふぅ…影千代さまぁ~」 地面を叩き声を殺し泣く私を、紫紺は『やれやれ…ガキの頃から頑固者だからな』と尻尾の付け根より酢酸・カプリル酸の混合物を噴射した。 「ぶぐはっ…ごはっ…うぇっほ……な…なにをす…」 「ちゃんと量を抑えてやったんだ。どうせ何年も噴射されて慣れてるだろうけど、気付け薬にはなったんじゃねえか?」 フラフラしながらむせている私を、軽々と肩に担ぎ上げる。 「女々しくオイオイ泣くのは勝手だが、あんな場所じゃ当て付けでしかねえぞ。それに金丸どのの側近のジョウゴグモのやつが、影千代さまの隙を常に探ってやがる。まあ小姑みたいに粗探しってやつだろ?」 そう言われてしまうと、むせて更に涙目の私も従わざるを得ない。 「なあ一茶。本気でこの先のこと考えてみろよ。影千代さまは影千代さまで幸せを手に入れられる。金丸どのが影千代さまをお好きにならなけりゃ話は別だが…」 「………影千代さまに思いを寄せられ、心動かぬはずがなかろう…私が…この私が命懸けでお仕えしてきた方だ!誰よりも…影千代さまのどのご兄弟方よりも優れ、次なる王に相応しい御方だ」 紫紺の肩に担がれたまま、両手で顔を覆う。 「影千代さまに引き離されるなど…思いもよらなかった。私の存在は…影千代さまにとっては重荷なのか?」 零れる涙が紫紺の歩く足元に点々と印を残す。 されど乾いてしまえば、影千代さま同様に私の存在を示すものは何もない。 「影千代さまは、黒蠍国を出る覚悟を早くより決めておられていた…」 「し…紫紺…いったい…」 「御自分が黒蠍国にいることで、影千代さまを王にしようとする動きが水面下であることもご存知のようだった。赤ちゃんの時より、お母上の父である先の左大臣どのが画策していたことも…」
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