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一階に降りると家族全員が揃っていた。幸樹は、自分の席に座ってテレビを見始めた。
「ねえねえ、幸樹兄、寿人先輩から聞いたんだけどさあ、幸樹兄夏休みバイトするの?」
お茶を飲んでいた幸樹は、若干咽せてしまった。
(あの馬鹿、内緒だって言ってたのに話しちまったのかよ。)
心の中で寿人に悪態を付いたが、まあ皐月にはどうせばれて仕舞うか、と思い気を持ち直す。
「まあまだ決めて無いけどな。割の良いバイトがあれば、やってみようかとは思ってるよ。」
一応当たり障りの無い返事をしてくおく。皐月は、少し考えた後、
「んじゃあ、もし良いバイトがあればうちにも紹介してよね!」
これだから嫌だったんだよなぁ。皐月は何かに付けて俺の真似をしたがる伏がある。今回もその例に洩れずだった。
「とりあえず寿人に聞いておいてやるよ。先ずは飯喰おうぜ飯。」
家族全員席に着き、いただきますと合掌する。
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