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ほんとに、なおってよかったと、心のそこから思う。
昔のはなし。
夢を見た。
ごめんね、と母がいう。
妹が死んじゃったんだ。
何で謝るの?母はわるくないのに。
大丈夫、大丈夫、落ち着いて。
これはゆめだ。
これはゆめなんだ。ほんとじゃないんだよ、うそなんだよ。
これは、昔のはなし。
あるなつの日。
妹は入院していた。
はっけつびょうっていうびょうき。
いつ死ぬかわからないんだって。
両親は妹のために今日もお見舞いにいってるのかな。
私もいきたいな。
心配だよ。
妹が入院して、私は祖母と祖父の家に預けられた。
一人でみんなの帰りを待つ。
妹が死んじゃったら?
そんな考えが浮かんで、
そんなことを考えた自分が嫌いになる。
わたしがかわってあげられるならかわってあげたいよ。
べっとのなかで、かみさまにいのる。
私のなかだけのかみさま。
おねがい、誰もしなないで。
妹だけじゃなくて、ほかひとも。
自分以外の誰かが悲しいのはいやだ。
わたしがかわれるならかわるから。
おねがい、誰も悲しいおもいをしませんように。
そっと、誰かが部屋を開ける。
両親だった。
二人はにっこり笑って。
お誕生日おめでとう!
プレゼントを開けると、
60色のいろえんぴつ
とってもうれしかった。
今日は私の誕生日だったのか。
さっきまであんなに心配だったのが
うそみたい。
夢じゃないといいな。
お礼をいって、おやすみなさいといってねる。
ふたりはいえへかえる。
よるおそくにごめんね、とかいって。
翌朝起きて、まくらもとをみて、
ゆめじゃなくてよかった。
昔のはなし。
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