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この事件をどこから書きだそうかと考えたとき、僕はあの、ちょっとした内輪の会話を思いだす。
その会話じたいは、今回の事件とは、なんの関係もないのだが、この事件の真髄を象徴する内容だったように思う。
いつものように、僕らは夕食のあと、順番に風呂に入りながら、居間で、くつろいでいた。
僕らというのは僕と猛、それに、蘭さんだ。蘭さんについては説明が必要か。
とある事件で知りあった、絶世の美青年だ。
ほんと、こんな人が、この世に存在していいのかッ? と目を疑うほどの麗人。
テレビで見る、どんな女優よりビューティフル……。
兄と同い年の二十六歳。
美しすぎて、しょっちゅう、ストーカーに、つけ狙われる。
なので、ずっと引きこもってたんだけど、僕らと暮らすようになって、なんとか普通の生活を送れるようになった。
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