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その青年は、まだ20歳前後に見えた。 ウェーブの掛かった茶色の髪は顎先まであり、俯いているせいで顔がよく見えないが、肩のラインや机の上に乗せているすらりとした手指が若さを象徴していた。 首にはチョーカーを提げ、手首にも指にもアクセサリーを着けている。 ルイスはテーブルを挟んで彼の対面に座り、尋問を始めた。 「きみの名前は?」 青年が顔を上げた。 肌は白いが、アジア系の顔立ちである。 鼻筋も顎も細く、瞳は鳶色で唇は真っ赤だった。 …まるで、映画に出て来る吸血鬼のようだ。 ルイスがそう思ったのは、容姿だけが理由ではなかった。 彼は口から出血しているのだ。
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