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ある晴れた日の朝、登校中の生徒達が挨拶を交わすありふれた光景。
「みさき先生おはよーございまーす」
「おはよう白川くん。…ってコラ、瀬良先生って呼びなさいって、いつも言ってるでしょ?」
「だって瀬良先生って呼びにくいよ」
「だからって名前で呼ぶのは…」
「おはよー!みさき先生」
「ほら、藤咲も名前で呼んでるじゃん」
「おはよう。藤咲さんも私の事は瀬良先生って呼んでって…」
「えー呼びにくいからやだー。名前の方が親しみがあって、可愛いから良いじゃん。じゃねー先生また学校で!」
と言いながら、白川と藤咲は学校へ向かって行った。
「まったく、もう…」
つぶやきながらも、みさきは笑顔になる。
瀬良(せら)みさき、28歳。
職業:高校の英語教師。
みさきが教師になろうと思ったきっかけは、高校2年生の時。
英語教師だった女性が帰国子女で、美人だがサッパリした男らしい性格だった。
授業は海外に住んでいた事を活かした内容で、実用的でとても面白く、こんな教師になりたいと憧れた。
そして高校を卒業し、大学で教員免許を取り念願の英語教師になったのだ。
現在は、生徒から姉のように慕われるようになって、毎日楽しい日々を送っている。
みさきは横断歩道の手前で、ぼーっと立っている男子生徒がいるのに気付いた。
「おはよう。こんな所に立ってどうしたの?気分でも悪い?」
すると男子生徒は驚いた顔をして
「…あんた、オレが視えるのか?」
みさきは、しまったと思った。
――その男子生徒は幽霊だったのだ。
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