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「ここなんだけど見覚えある?」
「…いや、わかんねぇ」
学校の正門に着き、みさきは男子生徒に尋ねる。
二人は職員室に行き、朝礼を終えた。
今日は1時限目の授業がなかったので、資料室で過去の卒業アルバムを探す。
「私と同い年なら20XX年卒業のハズ………あっ、いた!!」
――3年2組 甲斐鷹絋――
「やっぱり甲斐くんだ…」
そこに写っている写真は、今みさきの隣にいる男子生徒の顔だった。
自分の顔写真をじっと見つめる甲斐。
その横顔を複雑な表情で見つめるみさき。
みさきは困惑していた。
学校に向かっている時も、他人のそら似であって欲しいと思っていたほどだ。
実は、甲斐はみさきの初恋の相手だったのだ。
それが高校生の姿で霊となって、みさきの隣にいる。
少なくとも、卒業アルバムの写真撮影後に亡くなったという事だろう。
あまりにも早すぎる死。
15年ぶりに再会した初恋の相手が、幽霊となって現れたという現実を、みさきは受け入れる事が出来ない。
ずっと自分の顔写真を見ていた甲斐が、ふいに口を開く。
「なぁ、ページめくってくんない?集合写真とかも見たい。」
「えっ、あっ、そうだね。ごめんね気付かなくて!」
動揺していたみさきは、慌ててページをめくる。
修学旅行の集合写真や体育祭の写真など、みんな楽しそうに写っていた。
その中でも、甲斐は人一倍目立っている。
高校でもクラスの中心的存在だったようだ。
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