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みさきと甲斐は、小学校から中学1年の12月まで同じ学校だった。
いわゆる幼なじみだ。
何度か同じクラスになった事があるが、常に甲斐はクラスの中心にいた。
明るく活発で目立ちだかり屋。
男女関係なく仲が良く、みさきともよくふざけ合っていた。
だが、中学校に上がると急に甲斐がよそよそしくなり、あまり喋ることがなくなった。
小学校とは環境が変わるから仕方ないと、みさきは少し淋しく思っていた。
でもそれは恋愛感情ではなく、単純に友人と疎遠になったのが淋しかったのだ。
あれは中学1年の体育祭の帰り道。
みさきは偶然目撃した。
黒い子猫が小学生数人からいじめられ、それを甲斐が助けているのを――。
子猫は傷だらけでひどく怯えており、甲斐が近付くと毛を逆立て何度も手を引っ掻いている。
それでも甲斐は優しく手を差し出し、
「もう大丈夫だぞ。ほら手当てしてやるから、こっち来いよ。」
と子猫に声を掛け続ける。
その顔は今まで見たことがない、とても優しい表情をしていた。
すると、だんだん子猫は大人しくなっていった。
甲斐に抱き上げられ、そのまま帰って行く。
みさきは甲斐に声を掛けることも忘れ、ただただその光景を見ていた。
――トクン……トクン……。
その時、みさきは甲斐に恋をした。
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