第2話

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みさきと甲斐は、小学校から中学1年の12月まで同じ学校だった。 いわゆる幼なじみだ。 何度か同じクラスになった事があるが、常に甲斐はクラスの中心にいた。 明るく活発で目立ちだかり屋。 男女関係なく仲が良く、みさきともよくふざけ合っていた。 だが、中学校に上がると急に甲斐がよそよそしくなり、あまり喋ることがなくなった。 小学校とは環境が変わるから仕方ないと、みさきは少し淋しく思っていた。 でもそれは恋愛感情ではなく、単純に友人と疎遠になったのが淋しかったのだ。 あれは中学1年の体育祭の帰り道。 みさきは偶然目撃した。 黒い子猫が小学生数人からいじめられ、それを甲斐が助けているのを――。 子猫は傷だらけでひどく怯えており、甲斐が近付くと毛を逆立て何度も手を引っ掻いている。 それでも甲斐は優しく手を差し出し、 「もう大丈夫だぞ。ほら手当てしてやるから、こっち来いよ。」 と子猫に声を掛け続ける。 その顔は今まで見たことがない、とても優しい表情をしていた。 すると、だんだん子猫は大人しくなっていった。 甲斐に抱き上げられ、そのまま帰って行く。 みさきは甲斐に声を掛けることも忘れ、ただただその光景を見ていた。 ――トクン……トクン……。 その時、みさきは甲斐に恋をした。
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