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俺が女子なら後ろから抱き付いて「大きくなった?」と言いながら胸をまさぐるのだが、男の俺がそんなことをすれば入学していないのに退学、悪くて逮捕だな。
だから、耳に顔を近づけふぅと息を吹きかける。
女「ひゃあっっ!?」
椅子の上で慌てふためく姿がとても愛おしい・・あれ、なんか俺を睨み付けてるぞ?
振り向いたその女子の瞳に涙が浮かんでいて、罪悪感で心がいっぱいになったがよくよく考えたら気のせいだと分かったので、何事もなかったかのように挨拶を交わす。
連「よぉ、虫でもいたか?」
笑いを堪え切れない、さっきの光景が頭の中を縦横無尽に駆け回っている。
顔を下に向け肩を震わせているとバカと一言呟いたのが聞こえて再び顔を上げる。
女「謝ってくれないと口きいてあげないよ」
お前は子供か、俺が中学の時フル無視した時はずっと近くにいてぺこぺこしてくせに。
ちなみにこいつの名前は咲宮 桜(さきみや さくら)、幼馴染で小学校から付きまとわれている、ストーカーされたこともあったかな?
連「悪いとは微塵も思ってないから謝らないし、全員揃ってるにも関わらず後ろを向いて俺と話している桜は、空気読めない可哀想な子なんだなって教えてやろうと思ったがその必要性はないようだな」
桜は顔を真っ赤にして前を向いて辺りを見回した。
全員揃っていたのは事実だがまだ、皆和気藹々と話をしている姿を見受けられるので何の問題もない。
つまり俺の発言は半分本当で半分嘘ってことになる。
それに気づいた桜は、目を潤ませて俺を睨んできた。
うん、可愛いからそのままでいてくれ、俺の天使よ。
「皆様大変長らくお待たせしました、まもなく第58回入学式を挙行いたします」
桜は渋々といった表情で前を向いた。
校長の長い話を聞き、教師の紹介、先輩方による高校の紹介ビデオなどなど。
大半は聞き流していて何1つ頭に入っていないが、可愛い先輩を見つけて少しテンションが上がったのは確かである。
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