第1章

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「お荷物、お預かりいたします。 では、こちらへどうぞ?」 鏡の前の席に座って、ほぅ…と息を吐く。 店内には私の他にお客さんはいない。 これ、意外と緊張するわ。 「本日はいかが致しましょうか?」 あの人が私の髪をサラサラ触りながら聞く。 聞かれた時にすぐ答えられるように、これだけは言う言葉を決めてきたのよ? 「私に似合う髪型で。あなたに任せるわ。」 そう言うと、あの人が少し困った顔をした。 「長さとかは… 「全部任せるわ?」 そう、言い切ると あの人は少しため息をついて 「なんとなくそう言われるんじゃないかと思ってましたよ…」 そう言って苦笑いした。
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