第4章:聞きたいこと。気になること。

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「あ、透。おつかりー」と礼央。 奈央子がハッとして階段の三段目から下を見下ろすと、巨大な赤いマッシュルーム…では なく、渡辺 透の姿があった。 と、背後では、引き戸がパタンと音を立てて閉まったところだった。今 帰って来たらしい。 「…………」 無表情で、無言を貫く優。 すると奈央子が、階段の三段目に立ち止まったまま、透の方を見て叫んだ。 「優くんにとって私は『対象外の女』らしいから、それは絶対に ありませんので!」 タンタンタンッ ピシャン! しーん………。と静まり返る、団らんの間。 「…何おまえ、そんな事言ったのかよ。さっそく」 沈黙を破ったのは、透の静かな声だった。礼央も釣られてニヤけ出す。 しかし優は、無言のまま、二階への階段を上がって行った。 「俺ですら、対象外とは思えねーぞ?あの子」と透。 「ってか透はむしろ、女の子は皆 対象外なんでしょー」 「あ。知ってた?」 「何をいまさら!」 団らんの間には、透と礼央の会話だけが響いていた。
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