第5章:優見舞い申し上げます

13/27
前へ
/27ページ
次へ
右左共に木々で覆われている裏道は、風が少し吹くだけで、葉が揺れる音がさわさわと鳴っていた。茶色い枯れ葉が、土の道をかする音もする。 「そうだよな?アイツに会いにいくんでしょ」 「手、離してよ。急ぎたいの」 ちょっと厄介な人に好かれているな、と奈央子は思った。 「俺の質問に答えて」 「だから、優のお見舞いに行くんだよ。優、熱があるらしいの。はい、答えたよ!?離して!」 「やだ」 奈央子は、彼の性質をまだ理解していなかった。そもそも野城と出逢ったのは苺学園に入学してからで、一学期の頃だ。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加