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あの時の女の先生が、『団らんの間』にいた。机の上には紙が山積みだった。
「先生!あの…優の、上城くんのお見舞いに来たんです。何か熱があるらしくて。野城くんもどうしても行きたいって言うので、連れて来たんですけど」
奈央子はなるべく「仕方なかったんです」という言い方になるよう努力した。それが野城にも感じられたのか、不快そうな顔をした。
「あら、そうなの。でも普通の生徒はここへ来ちゃ駄目なのよ。お見舞いも二人も要らないでしょう。野城くんは悪いけど、授業に戻りなさい?」
野城は先生の存在で 例の心配事に安心したのか、奈央子には何も言わずに素直に出ていった。
二人になった所で、奈央子は改めて聞いてみた。
「優、熱 酷いんですか?」
「そんなに酷くは無いわ。ちょっと下がったし。それから…太田さん」
二階の階段を上がろとする奈央子を、先生が呼び止めた。
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