第5章:優見舞い申し上げます

9/27
前へ
/27ページ
次へ
そして、昼休みになった。 「奈央子、愛加のクラス行って食べない?」 あかねが、鞄から弁当と飲み物を出しながら言った。 「私、優のお見舞いに行かないきゃ。お昼ごはん買って持ってくね。おなか空いてると思うし…。後で行くから?」 ほほ~ っとあかねは感心した。 「せっかく野城くんのクラスに行けるのに…。奈央子、一人で行きにくいって言ってたわよね?」 野城と愛加は同じクラスのC組だ。 あかねが愛加に会いに行くついでに奈央子もC組に行けば、確かに野城に会える。 だが、奈央子は内心そこまでして彼に会いたいとは思っていなかった。 「ん~別に良いよ。じゃ、そろそろ行くね。優 待ってるから!」 奈央子はそう言って、教室を後にした。 「ね~、あかね。今 太田さんが言ってた"ゆう"ってもしかして、上城くんのこと?」 近くにいた女の子が、あかねに話かけて来た。 「さあ。違うんじゃない?ゆうなんて名前たくさん要るじゃん」 そう答えると、その子が再び喋る前に、あかねは教室を出た。 危ない危ない。チョコ寮に行くなんて絶対に言えないもんね。 しかも大正解、その優だし。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加