決勝戦 ―体温調節対決ー キチ VS ハナ

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ガタガタと隣のマシンから キチが出て来たのが見えたので 私もマシンを上に押しあげて ゆっくりとマシンから出た。 行司役のマユコが言った。 「暑いの飽きたから 次は、寒いのだよ! だって。」 「はぁ? 何言ってんだよ」 キチは暑さでうなだれた体を 椅子におろしながら イライラして貧乏ゆすりをしていた。 「なんなんだよっ くそジジイ。 適当な事ばっかり 言いやがって。」 …キチがぶつぶつと言って爪を 「寒いのってどぉいう事なの?」 「渋谷の誇り109!の屋上から 渋谷駅前ビルまで ロープを張りました。 この極寒の中渡れるかな~? だって。」 行司役のマユコの話す 口元を呆然と見つめながら、 その内容に 私もキチもうんざりした。 まさか…この水着のままで 渋谷の天井に張られたロープの 綱渡りをさせられるのか…!? 「マジ見世物じゃん!」 私は半ギレ状態でキチに同意を求めたかったけど 「元々うちらなんて見世物 みたいな人生じゃんか。」 キチはそう言い放って バスローブを羽織ると そそくさと店を出た。 「よぉっし!109に移動だぁ!」 ユカがハートのメンバーに 声かけした。
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