79人が本棚に入れています
本棚に追加
ガタガタと隣のマシンから
キチが出て来たのが見えたので
私もマシンを上に押しあげて
ゆっくりとマシンから出た。
行司役のマユコが言った。
「暑いの飽きたから
次は、寒いのだよ!
だって。」
「はぁ? 何言ってんだよ」
キチは暑さでうなだれた体を
椅子におろしながら
イライラして貧乏ゆすりをしていた。
「なんなんだよっ
くそジジイ。
適当な事ばっかり
言いやがって。」
…キチがぶつぶつと言って爪を
「寒いのってどぉいう事なの?」
「渋谷の誇り109!の屋上から
渋谷駅前ビルまで
ロープを張りました。
この極寒の中渡れるかな~?
だって。」
行司役のマユコの話す
口元を呆然と見つめながら、
その内容に
私もキチもうんざりした。
まさか…この水着のままで
渋谷の天井に張られたロープの
綱渡りをさせられるのか…!?
「マジ見世物じゃん!」
私は半ギレ状態でキチに同意を求めたかったけど
「元々うちらなんて見世物
みたいな人生じゃんか。」
キチはそう言い放って
バスローブを羽織ると
そそくさと店を出た。
「よぉっし!109に移動だぁ!」
ユカがハートのメンバーに
声かけした。
最初のコメントを投稿しよう!