決勝戦 ―体温調節対決ー キチ VS ハナ

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かつて渋谷の駅前周辺には ロープウェイがあったらしい。 うちらの生まれる前の話だ。 今回かいの、綱渡りは そこから来ているのかもしれない。 同じ時代を生き抜いた 忠堅ハチ公像だけは なんだか懐かしそうな顔をしてみえた。 日焼けでひりついた赤黒い肌を さらしながら 私とキチ、ハートとジリークは全員 チトカンを出て 指示道りマルキューに移動する事にした。 チトカンからマルキューまで 歩いて5分。 ブニッキーを出ると 私の周りをハートのみんなが取り囲んだ。 全員、マフラーやコートや 防寒しているのに私だけビキニ姿で トンだ恥さらしだった。 ユカが私のコートを羽織らせてくれた。 エレベータに乗り込むと 「ハナ、大丈夫?」 メイは栄養ドリンクを渡してくれた。 「ありがとう」 喉がカラカラだったので すぐに飲み干した。 「はぁああああっ、うまい!」 私が栄養ドリンクを飲み干す姿を エレベータの中でメンバー全員が 見つめていた。 「ハナさんっ」 「ハナさんっ大丈夫ですか?」 チーは今にも泣きそうな 子犬の様な顔をするので 「ヨユーだよっ」 頭をよしよししてあげた。 エレベーターが開くと 外の風が激寒い! 「さぁあむっ!」 「みんなでハナを囲んで!」 私はメイの腕にしがみついて チーや後輩が 私に抱きついてさすりながら 温めながら歩いた。 チトカンの外には他のギャルサーも 最終戦の噂を聞きつけて ちらほら集まっていた。 「ハナが出て来たぞ!」 エゴイストのマユコ。 デュラスのアギの後輩達。 ラブ不在のビビ。 カンナ不在の愛撫。 そして、姫君のヒマリも 「ハナ、キチを倒して。」 と言いに来たらしい。 私のコートの隙間からみえるビキニ姿に ざわつくギャルサー達。 「はっ? 水着?」 街を歩く通行人はギャルが集まっている事に 視線を送る人が多かった。 中でもこの冬空の中 一人ビキニ姿の私を見て 目をまんまるくした
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