第12章:貴方が愛した海ならば。

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絶対にブランド物しか着なかった母さんの服が、普通の服になったり。 髪型も、やつれて来たり。 会費を理由に、婦人の会に出席しなくなったり。 ホームパーティーとかの参加を断ったり。 やたら近所付き合いが悪くなったり。 働きに出たり。 雇っていた家政婦さんの姿を見かけなくなったり。 ただ、家政婦さんは払うお金がなくなったから、勝手に辞めていったんだけど。まぁその他もろもろ。 それでもやっぱり『何かがおかしい』と思ったらしい近所の人たちは、僕たちに距離を置き始める。 僕の家が建っている場所は、豪邸ばかりが並ぶ町で、むしろある程度の大きな家じゃないと建てれないような高級住宅街ということもあり、だからかもしれない。 僕は近所のおばさん達から、イヤな目で見られるようになった。登下校中、住宅街を一人歩いている僕の方を見て、複数人で身を寄せ合って、ヒソヒソ何か話してた。
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