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どうせ父さんも居ないのだから、こんな大きな家は必要ないのに!余分な金がかかるだけだ!
いつも僕は、心の中で そう叫んでいた。
だけど僕は、それを母さんには伝えようとしなかった。なぜなら彼女のあの瞳。
いつか父さんは帰って来る…どんなに離れていても、いつかきっと。だから、引っ越しもしない。ここで待つ。この家を私は守る。
そんな瞳をして、父さんを想う母さんの姿が、僕に、父さんが残したこの城を否定するなと、言っているような気がしたんだ。
ぼろぼろの服装で朝から晩まで働く母さんは
まるで王子様を待っているシンデレラみたいだと
僕は ひそかに思っていた。
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