第12章:貴方が愛した海ならば。

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どうせ父さんも居ないのだから、こんな大きな家は必要ないのに!余分な金がかかるだけだ! いつも僕は、心の中で そう叫んでいた。 だけど僕は、それを母さんには伝えようとしなかった。なぜなら彼女のあの瞳。 いつか父さんは帰って来る…どんなに離れていても、いつかきっと。だから、引っ越しもしない。ここで待つ。この家を私は守る。 そんな瞳をして、父さんを想う母さんの姿が、僕に、父さんが残したこの城を否定するなと、言っているような気がしたんだ。 ぼろぼろの服装で朝から晩まで働く母さんは まるで王子様を待っているシンデレラみたいだと 僕は ひそかに思っていた。
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