第12章:貴方が愛した海ならば。

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目の前には間違いなく、僕の父親。 いつも持ち歩く写真で見ているのと変わらない、顔。 あとは、なぜか揺るぎない、勘のようなもの。 僕は、胸の鼓動が高鳴るのを感じた。 そしてすぐに、父さんの隣に一緒にいる人に気付いた。 僕と同じ位の背の高さ、僕と同じ位の年齢の、男の子。 誰…? 僕が何か言う間もなく、二人は無言で玄関ロビーに入って来た。この家の中だと感じにくいけど、外は雨がよく降っているらしく、二人とも傘を畳んでいた。
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