第12章:貴方が愛した海ならば。

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僕はクローゼットルームからタオルを出して、二人が入って行ったであろうゲストルームに向かった。 この時の僕の頭の中は、混乱と興奮で交差していた。 今まで怒りの感情しかなかった父さんのに、今は、ない。 それにしても父さんが十数年ぶりに突然帰って来た理由と、あの一緒に連れてきた男の子は、 一体誰なんだろう… ガチャ 「あ」 ドアを開けるとそこにはあの男の子だけで、父さんの姿はなかった。 母さんの所に行ったんだろうか? 僕はちょっと嬉しくなった。 男の子は僕を見据えていた。僕は男の子にタオルを渡す。 「どうぞ」 「…あんがと。」 だけどタオルを手に持った途端、男の子は顔をしかめた。
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