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幼稚園を卒園し、エスカレート式で付属の小学校に入学した。
生活費と学費とかは毎月、父さんから振り込まれていた。それも母さんがいつも微笑みながら「使いきれないわ」って言うくらい、無駄に莫大な金額らしかった。
毎月 母さんにアメリカから振り込まれるらしいお金のおかげで、僕は裕福な幼少時代を送っていたと思う。 端から見ても、単身赴任の家庭だとは思えないような。
そう、
あ の 頃 ま で は 。
あの時は、『本当の事』は知らなかったんだ。
仕事で忙しいんだろうって。今日も帰って来ないんだって。良い成績だったテストの結果を見せたくても、仕方ないなって。
いつも母さんが
「とにかく、今後の父さんの会社の運命は、あなたにも係っているのだからね」
なんて、幼い僕には意味のわからないことを言われても。
でも僕は、バカだった。幼い僕には わかるまい。毎日勉強していても、『子供』の僕には、母親の発する台詞は理解できない。
そう僕は もうすでに
狭苦しい社会の入り口に、立たされていたんだってこと。
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