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ガチャ
ルナが開ける扉の音が、重たく感じた。扉の音は、いまの自分の心理状態を表してくれている様に思えた。
扉を開けたルナは後ろを振り向き、戸惑い顔の奈央子に「さぁ遠慮せずに入って」と言った。
「お、おじゃましまぁす…」
奈央子の暗くて沈んだ返事を気にすることなく、ルナは威勢よく部屋の中へと進んで行く。奥で「お客さんを連れて来たの。良いかしら?」という彼女の声が聞こえた。
だが奈央子は部屋の中を見て、思わず驚いてしまった。
六号室とは比べ物にならない位に、狭いのだ。六号室が広過ぎるのもあるが、部屋は二つだった。一般的になら、スタンダードルームに分類されるであろうクラスの部屋だ。
ゴージャス感は あの部屋と比べて、殆ど無い。
と言っても、二人が『金持ちの娘・息子』だと知っているからだろうか。そんな二人だからこそ、余計に違和感を感じるのだ。
奈央子が玄関から先に進まないでいると、ドア(玄関から部屋までの廊下にもう一つドアがあったのだ)の奥から、ついに、野城 充の声が聞こえた。
聞き覚えのあるテノール。奈央子の心は益々重たくなった。
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