第13章:愛しのラビリンス-前編-

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あーあ~…、何で私が野城くんの部屋なんかに~! トイレに行ったらすぐに、六号室に戻る予定だったのに! だがそう考えても仕方なく、奈央子は重たい足を進めた。それに、あまり拒み続けるのも『感じ悪い人』と思われそうでイヤだったのだ。 ふと優の事を思い出す。 体調は もう大丈夫そうだったが、野城くんの部屋に行ったなんて、絶対に言えない…! あっでも、女の子も一緒だから別に良いかな?二人っきりという訳でもないし。 でも もしも野城くんと二人きりだったと知ったら、優は、どんな顔をするんだろう…。 そんな事を考えながら、奈央子の重たい足はついに、短い廊下を通り抜け、ベッドの横を過ぎ、野城の所までたどり着かせてしまった。 野城は一つしかない椅子に座り、テーブルに置いたノー型トパソコンの画面を見ていた。 奈央子が近付いて来ると、顔を上げた。いつもと変わらぬ表情だ。 そして、沈黙が数秒間 続いた後(のち)。
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