第13章:愛しのラビリンス-前編-

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野城が上半身に着ている深緑色のカッターシャツの胸元は、軽く はだけており、いつものストレートヘアも今は後頭部が少し乱れている。それが何を意味しているのか、自然と頭に浮かぶ。 隣の部屋で、ルナがクローゼットを閉開する音が聞こえる。 奈央子は胸が苦しくなるのを感じた。 どうしてなの? 今までの私への態度は一体 何だったのだろう。あんなに好きだと言ってたじゃない。 単に冷めただけ? 二人共 好きだって事? すると突然、野城が顔を上げ、遠い場所に伝えるように言った。 「ひつじ。太田さんにお茶でも入れてよ」
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