第13章:愛しのラビリンス-前編-

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皆、彼女が通り過ぎた後を振り返っては 「おや?今の女の子は…。誰の娘だい?」 「見たことない顔ねえ。どちらのお嬢さんかしら?」 などと言う会話をしていた。 もちろん奈央子は そんな会話に返す台詞もない『普通の家の子』なので、聞こえないフリをしたていたが、さすがに立ち振舞いは見直し始めたようだ。 少し立ち止まっては、平然とした表情を作った。 理由は解らないが、変な予感を感じていたからだ。 もしかしたら『これからも』、こういう事に遭遇するかもしれないと。 だがそれは どう言うことか、奈央子自身が分かっている筈だ。 そしてやっと、目的地に着いた。 人通りの少ない場所に造られている配慮の有りがたさを、彼女は改めて感じていた。
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