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(げ…っ!!)
「あら!優さんの…。ちょっとそこ、退いてちょうだい?」
わーん こんな所でまた会うなんて!
いやいや、そうじゃなくてっ!
「は、はい!どうぞっ」
奈央子が体を移動させる前に、ルナは奈央子が使っていた洗面所に もう割り込んで来た。
彼女の綺麗な水色のドレスにぶつかりそうになるのを、奈央子は間一髪で逃れた。
奈央子は、辺りを恐る恐るきょろきょろと見回した。
えと、他にも洗面所たくさんあるんですが…
どうして わざわざ私の使ってた所に?
まぁ別に良いんだけど。
奈央子は優が待っているのですぐに部屋に戻るつもりだったが、やはりどうしても彼女の事が気になった。
野城くんの”フィアンセ”…。
その意味は奈央子でも分かる。
優が言ってた話を思い出すと、奈央子からしてみれば、まだ 名前も知らない目の前の相手なのに、なぜだか胸が苦しくなった。
とりあえず奈央子は、このゴージャスなトイレを物色するフリをしながら、ルナの様子を見て、話かけるチャンスを待つ事にした。
カチャ カチャ
ルナは奈央子から奪った洗面所で、大きい白の ふわふわファーのポーチの中を、ガサゴソと、コスメを取り出しては化粧をしている。
ふと、その化粧品に、奈央子の心臓がドキッと揺れた。
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