〈5〉 ミステリー研究会とシャーロッキアン達

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「…というのが、緋色からの報告なんだ。要するに他殺を疑う所見なし」 カイは緋色さんからの電話を切った後、一通り説明してくれた。「報告」なんて言い方が緋色さんの上司みたいだ。 「柏原綾乃の通信履歴にも不審な点はない…少なくとも、オーディション開始から死亡推定時刻までの間、電話やメールは入っていない。 と言っても、彼女のスマホはバッグごと水の底…警察が通信会社に履歴を問い合わせたそうだ。移動とオーディションの時間は電源を切っていた可能性が大きいと思うけどね。 つまり、何者かに突然、電話やメールで呼び出されて屋上に行ったという可能性は極めて低い。 計画的な犯行だとしたら余計に不確実な要素が多すぎる。合否とか行動パターンとか。そもそもなぜ、彼女が犠牲者でなければならなかったのか?僕が推理するに…」 指を組んで推理に集中するカイの話の続きをあたし達は息を詰めて聞いていた。 「二次オーディションに受かった嬉しさのあまり、給水タンクにダイブした、とか?」 「カイ、真面目に!」 あたしと蓮斗は怒りで、シエラは可笑しさのあまり吹き出した。 「シュール過ぎる!」 「そうだ。本人の性格や防犯カメラの映像、状況的にも不合理だ…。ちなみに、僕はふざけてるわけじゃないよ。 いくつか仮説を組み立てて、真実に近い最後の一つまで潰していってるだけ。緋色ともよくそうしている」
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