〈5〉 ミステリー研究会とシャーロッキアン達

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「そうだな。こうなるともう、精神科医の世界…僕の専門外だ。 蓮斗の説にも一理あるよ。でも、自殺だとしても、引っかかることだらけだ。カバンも靴も一緒に水の中というのもそうだ。普通、外に揃えて置いておきそうなものだけど。 ただ、事件報道やドラマの影響で僕らがそういうイメージを強く持ってるだけで、よく考えると別に法律上や宗教上の縛りがあるわけでも合理的な理由があるわけでもない。 飛び降りの場合だけは、万一真下に通行人がいた場合、落下物による二次的被害を最小限に食い止められるのが利点と言えば利点…」 「カ~イ~~~!」 もうたくさん。カイの「自殺論」を聞きたくて集まったわけじゃない。 「ごめん。話を戻そう」 なぜか代わりに蓮斗が謝った。ユーロサッカーばりの瞬殺セットプレー。 「愛莉を襲おうとした不審者はどう?十分怪しいよ」 「それなんだけどねえ…」 カイが部室の椅子にもたれたまま、持て余し気味の長い足を組み替えた。
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