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一気に力が抜けた。
「…もういいよ…。あたし、疲れちゃった…帰る」
「愛莉!待てよ!事件解決はどうなる?」
カイが慌てて立ち上がった。あたしは正直、一人になりたくなかったけど、暗くなってから家に帰るのも嫌だった。
「ちょっと!カイ!ひどい!」
「そうだよ!もっと他に言い方あるだろう!」
「言い方って、何が!僕が何か事実と違うこと言ったか!?」
「ああもう!そういうことじゃなくて!」
「そう!例えば…『僕だけは君を信じてるよ』とか!」
「えっ?シエラ、それ、ちょっと違う気が……」
「『君を信じてる』?そんな主観的な文章に意味がある?
僕は君達の正義感と道徳心、それに論理的思考能力を信頼しているからこそ、こうやって僕の推理の検証を依頼している」
「だから!そういうことじゃくて!アイリーンは今、怖がってる。怖いのに、無理に普通にしてる」「そうそれ!察してやれよ!」
「『察する』?なぜ?そんな日本民族特有の感覚、気休めにもならない!
愛莉を安心させるには犯人逮捕!それには一コでも多く手掛かりを集め、早く真実を明らかにする!違うか!?」
「だから…!カイは女の子の気持ちわからないの?ね、アイ…!あれ?いない?」
「愛莉!?…ダメだ!一人になっちゃ!」
カイは議論していた二人を押しのけ、部室を飛び出した。
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