〈5〉 ミステリー研究会とシャーロッキアン達

19/19
前へ
/146ページ
次へ
一気に力が抜けた。 「…もういいよ…。あたし、疲れちゃった…帰る」 「愛莉!待てよ!事件解決はどうなる?」 カイが慌てて立ち上がった。あたしは正直、一人になりたくなかったけど、暗くなってから家に帰るのも嫌だった。 「ちょっと!カイ!ひどい!」 「そうだよ!もっと他に言い方あるだろう!」 「言い方って、何が!僕が何か事実と違うこと言ったか!?」 「ああもう!そういうことじゃなくて!」 「そう!例えば…『僕だけは君を信じてるよ』とか!」 「えっ?シエラ、それ、ちょっと違う気が……」 「『君を信じてる』?そんな主観的な文章に意味がある? 僕は君達の正義感と道徳心、それに論理的思考能力を信頼しているからこそ、こうやって僕の推理の検証を依頼している」 「だから!そういうことじゃくて!アイリーンは今、怖がってる。怖いのに、無理に普通にしてる」「そうそれ!察してやれよ!」 「『察する』?なぜ?そんな日本民族特有の感覚、気休めにもならない! 愛莉を安心させるには犯人逮捕!それには一コでも多く手掛かりを集め、早く真実を明らかにする!違うか!?」 「だから…!カイは女の子の気持ちわからないの?ね、アイ…!あれ?いない?」 「愛莉!?…ダメだ!一人になっちゃ!」 カイは議論していた二人を押しのけ、部室を飛び出した。
/146ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加