〈6〉 ゴスロリ女子高生vs謎の自転車乗り

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後ろから自転車が来る……と思った。 古いママチャリだから軋んでいる音がするんだろう…。どこかのおばさんが買い物か夕方のパートに行くところかもしれない。あんまり深くは考えなかった。 しかし。 しばらく自転車を漕いでいると、なんだか付けられているような変な感覚に襲われてきた…。 あたしが速度を緩めれば向こうも遅くなるし、速度を速めると向こうもスピードを上げる。 それに、錆びた金属音に時折混じる、何かを引きずるようなズルズル…カラカラ…という不快な音。 相手は一定間隔で距離を置いて…こちらをうかがっている?。 微かな音が変化する。キィ…キィ…キィ。 気づくと、河川敷の一本道はずっとさきまで無人だった…目の橋の上は車道。ここから叫んでも声は届きそうにない。土手の上に上がるためにはまだ500mほど漕がなければ。 思い過ごしであることを祈って、あたしはペダルに力を込めた。すると後ろの自転車も俄然加速する。 橋をくぐって左側…河岸の方にゲートボール場とポプラの木立があって、道がカーブするため死角ができる。 あたしは後ろの追跡者を振り切るために、全速力で自分の自転車を漕いだ。
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