〈6〉 ゴスロリ女子高生vs謎の自転車乗り

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「貴様!何してるーっ!!」 突然怒号と共に、黒い不審者に黒い塊が猛スピードで体当たりしてきた。 不審者は不意をつかれ、あっという間に乱入者の進行方向に鉄パイプと一緒にすっ飛んだ。 黒ずくめの不審者は体格の割に筋力がなかったようだ。不審者に馬乗りになり、奪った鉄パイプで押さえつけながらカイが叫んだ。 「漣斗!僕のロープでこいつを縛って!シエラ!110番!」 「わかった!」 「アイリーン!大丈夫!?」 あたしを救ってくれた黒いヒーローはカイだった。カイは今日はダークカラーのシャツに黒いパンツを合わせていた。そして通学に使っている黒いスポーツタイプの自転車。 シエラも漣斗もあたしを心配して、全速力で後を追ってきてくれていたのだ。 あたしはまた泣いて、助け起こしてくれたシエラに抱きついた。 間もなくパトカーが到着し、黒ずくめの男は連行された…目出し帽をとった人物は……どう見ても若いとは言えない、大人しそうな男だった…頭頂部まで額が広がっている事をのぞけば特徴も無く、町ですれ違っても特に印象も残らなそうな、メタボ気味なのに貧相な匂いのするオジサン。…ともかく、あたしの見覚えのない人物だった。 あたし達は駆けつけた緋色さんに連れられ、警察に保護された。
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