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今度は警察署の応接室に通された。
「事情聴いたらパトカーで送るってことで、親の了解は取ったそうだよ。もう少し付き合ってくれる?」
カイが近所のコンビニで調達したらしい四人分の飲み物と軽食の類を抱えてドアから現れた。…緋色さんの指示なんだろうけど、「パシり」っぽい作業をしているカイって何だか新鮮(?)だ。
「うっわあ♪お腹ペコペコだったの。アイ、こういう時は少し食べた方がいいよ」
「う…うん、ありがとう」
まだ気が動転していて、ほっとしてお腹がすく…というような気分ではない。でもシエラの明るさには救われる。
「俺、これだけ立て続けにパトカー乗ったの、人生で初めてかも」
漣斗はコンビニの袋から選んだサンドイッチにパクつきながらはしゃいでいる。ミステリー作家志望の漣斗には、十分有意義(?)な体験なんだろう。
「世の中、パトカーなんかに乗らずに平和に平凡に暮らしていきたいと考えてる人の方がずっと多いと思うよ」
カイが苦笑した。そしてさり気なく、あたしの好きそうな具のおにぎりと飲み物をこちらに寄越し、自分もおにぎりを頬張った。
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