146人が本棚に入れています
本棚に追加
/146ページ
「カイ、私にもオニギリちょうだい!」
「あー、シエラ悪い、自分で選んで」
カイは面倒臭そうに袋をシエラの方に押しやった。…何という「ツン対応」。
確かにシエラは襲われた本人ではないけど、通報後、パトカーが来るまでの間、三人がかりで隙あらば逃げようとする犯人を取り押さえてくれた。空手の有段者ではあっても武闘訓練を受けているわけではない。内心、怖かったと思うのだ。
だがシエラは気を悪くすることもなく、嬉々として自分の分を選んでいる。
「シエラ…それ、おにぎりじゃなくて海苔巻きだよ?」
「いいの。こっちの方がラク」
シエラは特別不器用な子ではないけど、日本の海苔パリパリ仕様の「コンビニおにぎり」の包装には苦戦するようだ。
「俺もう、学校じゃなくてこっち通っちゃおうかな」
「レント、はしゃぎすぎ」
みんなのちょっとした「ピクニック気分(?)」につられて、あたしも少しだけリラックスできた。
「試しに一日代わってみるかい?」
緋色さんが笑顔で応接室に入って来た。
最初のコメントを投稿しよう!