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その時。
突然、バタン!!とかなり乱暴に応接室のドアが開けられた。
「クロ、大変だ。ちょっと来てくれ」
紅森刑事が顔面蒼白で震え声、という「らしくない」様子で飛び込んで来た。
「何ですか。まさか、あんなひ弱そうな犯人に逃げられた、なんて言わないでくださいよね?」
「そうじゃない。ホトケだ」
「ホトケって……、あの、ここ、警察署内ですよね?」
「馬鹿野郎、ごたく並べてないで黙って来い!」
そしていつにもまして体育会系な紅森刑事に、緋色さんは有無を言わさず連れて行かれてしまった…強引さは焦りの裏返しにも見える。
開いたドアからは署内が騒然として、慌ただしく人が行き来しているのがわかった…さっきの犯人逮捕からはだいぶ時間が経っている。きっと何かまた別の騒ぎが起きたんだ。
「“ホトケ”ってナニ?」
シエラが首を傾げた。
「ミステリーなんかだと警察が『死体』『殺人事件の被害者』を指して言う言葉だね」
漣斗も首を傾げながら答えた。
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