〈7〉変死体とストーカー

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「あ、やっぱり覚えてないんだ。ただ、助けを求めてる人っていうのは無意識のうちにSOSを出してることがあるものなんだ。緋色が空気読める人でよかった」 「空気を読む」…って、こういう使い方もするのか…。とにかくカイの、いや黒夜叉兄弟の思考回路には舌を巻く。 「でも、ストーカーは逮捕されたし、これで一安心、じゃない?」 漣斗が言った時、応接室のドアがまた開いて、意外な人物が現れた。 「やれやれ…一難去ってまた一難、だぜ。君達、悪いが調書は後日だ。帰りは森村の兄さんに送ってもらえ」 「公私混同し過ぎでしょう。僕だって仕事で呼ばれてるのに…」 イライラした様子の紅森刑事と、白衣姿の漣斗のお兄さん…舞玖さんだ。 「そう言うなや、森村先生。可愛い弟とその友達だろ」 「『弟だから無条件に可愛がって然るべき』という見解については僕ははなはだ疑問が…やあ、愛莉ちゃん。今回も災難だったそうだね」 機嫌がいい時の舞玖さんは、眼鏡を掛けたテディベアみたいだ。母性本能をくすぐる癒し系の笑顔を見せて……嬉々として仕事内容の話をしてくれる。 それさえなければ大病院の御曹司だし、きっとモテモテキャラだったろう。
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