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お約束のようにカイ君はあたしの隣の空席に座ることになった。
「あたし…和籐愛莉(わとう あいり)。カイ君、覚えてるかな?子どもの頃、近所で」
「もちろん。すぐわかった」
「ほっ…本当?」
何年か振りに再会したイケメンに「覚えてる」と言われるって、思った以上に嬉しい。彼氏いない歴=人生歴のあたしの顔が思わずにやける。
「耳の形と輪郭の特徴というのは、年月が経っても変わらないからね。法医学の初歩だよ、愛莉」
綺麗に整った表情を変えることなく、眉一つ動かさずにすらすらと話す。
「…カイ君は…、変わってないね。見た目以外」
いや、さらに輪がかかってしまったかも。見た目がモデルばりのイケメンだから余計タチが悪い。クラスじゅうの女子の羨望の眼差しがあたしに注がれる…痛い。
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