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その後もよせばいいのにカイは、クラスメート38人全員の来歴、癖、趣味、特技、嗜好などを先取りしてほとんど当ててしまった…1人を残して。クラス全体が微妙な空気に包まれた。
「………」
「最後、君だよ。愛莉」
「あ…。えっと、」
あたしは反射的に立ち上がった。今までのみんなも自然にそうしてたし。
けど。
今さら、何を話したらいいんだろう?これまで会ってなかった十年間も見透かされている、とか?
…あたしはアメリカでのカイのことを知らないのに。大人の伝聞で聞いた話しか。
「名前は…和籐愛莉」
「知ってる」
「………」
「服の趣味、変わった?」
「そう?」
「日本にいた時はお互い子どもだったからな…君が未だにディズニープリンセスのTシャツ着てたら、そっちの方がおかしい」
「いや…ディズニーも好きだけど」
今の私は、コテコテのゴスロリ娘になっていた。
「何かあった?君の生育歴で」
「いや別に」
強いて言えば、ファッションセンスに目覚め、感性の鋭い頃に好きだったバンドの影響だろうか?
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