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カイは上から下まであからさまに眺め回す…ってコトはしない。それとわからないようにあたしの全てをつぶさに観察している。
「未だに極度の怖がり?」
「うん」
私はお化けや霊、そういう話が大の苦手だ。本家の伯父がそういう話が大好きで、あたしがパニクるたび理屈で「霊は存在しない」と言い聞かせてくれたのが、カイ。
こんなのはただの思い出話だ。推理でも何でもない。
「彼氏いない歴17年」
「悪い?」
確かに男ウケするようなファッションじゃないさ。でもこれがあたしなんだもの。
ブラウスがパフスリーブだから…シフォンのお花スカートやミュールでも合わせて肩にコットンのカーディガンでもふんわりかけたらいわゆる「もてファッション」になるんだろうさ。
しかし私は黒のレザーのビスチェにお揃いのフレアスカートをパニエで思いっきり膨らませて黒レースのハイソックスと鋲入りのゴツい革靴を合わせている。
首には赤のチョーカー、耳には蜘蛛の巣のピアス。フェイクのシルバーのロザリオに、タトゥーまでは入れる気ないからサラマンダーのシール。ネイルは黒。
コレが、今のあたし。
てか、あたしだけ何で尋問?
カイは椅子に斜めに腰掛けて持て余すように放り出していた長い足を組み替え、机に頬杖をついていた手を顔の前で組み合わせ、表情一つ動かさず呟いた。
「興味深いな」
…何の感想だ。
あたしは黙って着席した。
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