第2章

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「おい、カレー、まだ?」 「まだです」 そして最後に、俺の後ろに俺を 囲むように立っている社長が一番 おかしい。 「まだですからテレビでも見ていてください」 「イヤだ。見とく」 ……。 ちなみに、リビングで菊田さんはテレビを見ている。 俺ははぁ、とため息をついた。 もうこの際どうでもいいというのが本音だ。 身長167cmの俺は社長の腕に スッポリおさまり、非常に 動きにくい。 「…社長、動きにくいです」 「大丈夫、大丈夫」 いやだから俺が大丈夫じゃないんですけど…。 「社長、カレーが焦げます」 「ええ!? それは困る」 カレーのことを持ち出したとたんにこれだ。 俺はもう一度ため息をもらした。
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