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「いいのいいの。むしろこっちが恐縮しないといけないぐらいだし」
菊田さんはすっかりリラックスモードだ。
初めてみる菊田さんの表情に
俺は少し嬉しかった。
「お、イイ匂い」
声の方に目をやると、社長が扉を
開けこちらに向かってくるところだった。
俺は思わず目を見張った。
なぜかというと、社長が俺が
いつも見ていたスーツ姿から
ジャージへ着替えていたからだ。
いや厳密にいうと、ジャージ姿なのに色気がムンムンしていたからだ。
髪は濡れて光沢を帯び、
いつもより幼く見えるような…。
すると俺の視線に気づいた社長が
不思議そうにこちらを見た。
「ん? どうかしたか、天野?」
「え、あ、いや、そのぉ…」
言い淀む俺に、2人の視線が
突き刺さる。
うぅ…、これ言わないといけない
雰囲気…?
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