第2章

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それから俺たち三人は仕事が早く 終わった日は、社長の家で食事を することが多くなった。 材料費は2人が払って、俺はそれを 料理する。 まあ、料理すると言ってもごく 簡単なものだったけれど。 そうやってたわいのない話を していく内に、俺らの距離は 急速に縮まっていった。 初めは少しよそよそしかった俺も プライベートでは、 社長を繁社長、菊田さんを 涼介さんと呼ぶようになっていった。 とても楽しかった。 繁社長も涼介さんも、俺のことを 聖月、聖月と呼んでくれるし。 繁社長はプライベートでも少し いじわるだけど、 そういうときは涼介さんがまるで お兄ちゃんみたいに叱ってくれた その度にふてくされる繁社長を 見て、俺は何度笑ったことか。 あまり友人が少ない俺にとっては 上司という存在以上のもっと何か大切な宝物になっていった。
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