第2章

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「あ、いいですけど、カギ…」 「それなんだけど、確か僕の 後ろのポケットに入ってるはず だから…」 「どっちですか?」 「右」 「右ですね」 俺は失礼して、怜さんの後ろのポケットへ手を突っ込んだ。 …あった。 「あ、待って。 ちょっとそのまま…」 「え?」 そ、そのままって… 今、俺は人様のズボンの後ろの ポケットに手を突っ込むという 変態らしからぬ姿勢でいる。 俺が戸惑っているうちにも怜さんは俺の肩に顔を近づけてきた。 …ち、近い、近い! 思わずギュッと目を瞑ると、 「よし」 「え?」 ゆっくりと目を開くと、色素の薄い糸のようなものを口に咥えた怜さんがいた。 怜さんがそのまま口を開けると、それははらりと地面に落ちた。 お、俺の髪ー!! なんてことしてくれてんですか!? 思わずキュンなんてしちゃったんですけど!! 恥ずかしくて顔を上げられない俺を尻目に、怜はニヤリと笑みをこぼした。
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