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「あ、いいですけど、カギ…」
「それなんだけど、確か僕の
後ろのポケットに入ってるはず
だから…」
「どっちですか?」
「右」
「右ですね」
俺は失礼して、怜さんの後ろのポケットへ手を突っ込んだ。
…あった。
「あ、待って。
ちょっとそのまま…」
「え?」
そ、そのままって…
今、俺は人様のズボンの後ろの
ポケットに手を突っ込むという
変態らしからぬ姿勢でいる。
俺が戸惑っているうちにも怜さんは俺の肩に顔を近づけてきた。
…ち、近い、近い!
思わずギュッと目を瞑ると、
「よし」
「え?」
ゆっくりと目を開くと、色素の薄い糸のようなものを口に咥えた怜さんがいた。
怜さんがそのまま口を開けると、それははらりと地面に落ちた。
お、俺の髪ー!!
なんてことしてくれてんですか!?
思わずキュンなんてしちゃったんですけど!!
恥ずかしくて顔を上げられない俺を尻目に、怜はニヤリと笑みをこぼした。
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