挨拶、各位。(東京編)

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「え。あ、あの、これって……」 「千波にプレゼント。今日の夕食に着ていくドレス」 ギョッとして、千波は勢いよく横に立つ陸を仰ぎ見た。 「えっ。だ、だって、ドレスコードないって……」 「あるって言ったら、千波は気負っちゃうんじゃないかと思って」 言いながら陸は掛けていたドレスを手に取った。 そうして惚けている千波にそれを差し出す。 「千波の為に俺が選んだんだ。今夜はこれ、着てほしい」 そこでようやく千波は我に返った。 動揺しながら、差し出されたドレスと陸の顔を交互に見比べる。 「で、でもこんな高価なもの……」 「フォーマルドレスだから、そこまで高いものじゃないよ」 「でもでも、ホテルだってこんな立派な部屋用意していただいて……」 「ホテルは成瀬の招待だし、そもそも無理言ってついて来てもらったんだから千波が気を使うことないよ」 そう言うと陸は千波の手を引いて今度は鏡の前に立たせた。 千波の前身にドレスを合わせ、満足げに笑う。 「うん。やっぱりよく似合ってる」 「………………」 耳元でそう呟かれ、千波は鏡に映った自分の姿を眺めた。 こんな豪奢な服を合わせた自分を見て、何とも言えないくすぐったい気持ちになる。 千波はそっとドレスに触れ、はにかみながら鏡越しに陸に笑いかけた。 「陸さんは、ホントに青が好きですね」 「え?」 「お部屋の中も、青いものが多かったです」 ふふっと千波が笑うと、陸も穏やかに微笑み返した。 「それもあるけど、千波はやっぱり青が一番似合うよ」 「………そう、ですか?」 「うん。島の、海の色」  
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