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最上階のレストランに着いた二人は、夜景が綺麗に見下ろせる個室へと通された。
証と柚子の姿はまだなく、テーブルに着いた千波は一先ずホッと肩を落とす。
(うわぁ……綺麗……)
まさに宝石箱をひっくり返したようなという形容がピッタリの東京の夜景を目にして、千波は思わず息を飲んだ。
当たり前だが、島の夜景とはまるで別物で。
ここは同じ日本かと、疑いたくなるような光景だった。
「どうしたの?」
窓の外を見たきり固まったように動かなくなった千波に、陸はおかしそうに声をかけた。
千波はハッと肩を震わせ、慌てて陸に視線を戻す。
「いえ。夜景、綺麗やなー…と思って……」
「そうだね」
「なんていうか……ホンマに陸さん、こんな所で生活してらっしゃったんやなぁって思って…。なんか、圧倒されちゃいました」
話しながら、千波は興奮で上がっていた呼吸を整えようと、胸を押さえながら大きく深呼吸した。
「……どうしよう。……すごく緊張してきました……」
「どうして? 一度会ってるのに。気を遣うことないよ」
「そう、なんですけど。……テーブルマナーとか、私イマイチわかってなくて……」
「そんなこと誰も気にしないよ。個室なんだし、もっと肩の力抜いて」
クスクス笑いながら陸がそう言ったその時、コンコン、と上品にドアがノックされた。
ドキッとした千波は、無意識にピッと背筋を伸ばした。
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