挨拶、各位。(東京編)

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※※※※※※※ 「……み。……千波」 遥か遠くから自分の名を呼ぶ声が聞こえてきて、千波は重く閉じていた瞼をゆっくりと上げた。 一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなる。 「………ん」 「千波。そろそろ起きようか」 すぐ真上から声が降ってきて、千波はハッと目線をそちらへ向けた。 気が付くと、千波の体を囲うようにして陸が真上から千波を覗き込んでいた。 驚いた千波はひゃっと言って、布団を鼻の上まで引き上げる。 (そ、そっか……。東京におるんや、私……) ようやく意識がはっきりしてきて、千波は恐る恐る陸の顔を見上げた。 「よく寝てたね。そんなに疲れた?」 「……え、いえ。……ベッドが気持ちよくて……」 目を擦りながら緩慢な仕草で起き上がった千波を見て、陸はクスッと笑った。 窓の外に目を向けると、もう随分暗くなってきている。 「陸さんは、ずっと起きてたんですか?」 寝ていた様子のない陸に問うと、陸はうん、と言って頷いた。 「 俺は夕食に着てく服を取りに行ってた」 「………え?」 キョトンと千波が首を傾げると、陸は少しいたずらっぽく笑った。 千波の手を取り、そっと体を引く。 「ちょっとこっち来て」 「……え。……あ」 慌てて千波は少しはだけていた胸元を押さえ、ベッドから足を下ろした。 陸はそのまま千波をクローゼットの前に連れて行く。 一度千波の顔を見てから意味深に笑み、陸はおもむろにクローゼットの扉を開けた。 その中に掛けられていた青いドレスを目にした千波は、大きく目を見開いた。  
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