想うは、あなた一人。-2

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※※※※※※※ その日は、朝から不安定な天気だった。 昨今の異常気象のせいか、今夏は雨を予報できる千波の嗅覚も狂いまくりで。 傘を持っていない日でも、雨に降られることがしょっちゅうだった。 (うわぁ……最悪や……) 仕事を終え、正面玄関に出た千波は思わずその場で立ち尽くした。 不安定な天気ではあったが、今はまるで千波の帰宅を待ちかねていたかのようなタイミングで雨足が強くなり始めた。 傘はあるが自転車で出勤していたので、千波は少しその場で小降りになるのを待つ。 だが願いも空しく、雨はますます激しさを増していった。 (もうちょっと待って止めへんかったら、バスで帰らなしゃーないなぁ……) 厚い雲の垂れ込める空を見上げながら、大きく溜め息をついたその時。 千波の横に、人が立った。 「うわ、めっちゃ降ってますね」 空を覗き込むようにしてそう言ったのは、同僚の川上だった。 川上は千波より一つ年下の男性事務員で、デスクが隣ということもあり比較的よく話をする。 川上は空からふと千波に視線を移した。 「江崎さん、どうやって帰るんですか?」 「え?……自転車で帰るつもりやけど、止めへんかったらバスで帰ろうかな、と」 「いやぁ、自転車は無理でしょー」 苦笑しながら、川上はまた空を見上げた。 確かに雨の勢いはなかなか衰えず、むしろ激しさを増していく。 「よかったら、送りましょうか?」 不意に思い付いたように言い、川上は車のキーを千波に見せた。  
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